ギリシャ デフォルトまで秒読み。悪夢の銀行業務停止
ギリシャはどうして銀行業務が停止したのか?
ギリシャのリスクについては散々言われてきました、当サイトでも「ギリシャリスクに要注意。バイナリーでの狙い目は?」で取り上げさせて頂きましたが、ここにきて急激にリスクが高まりました。ギリシャの銀行が全面的に業務を停止(休業)したからです。7/5日までの限定的なものだとも言われていますが、これにはIMFの圧力もあったのではないかと言われていますが、6/30日までの合意がなければ支援が打ち切られるのではないかとは以前から言われていましたし、何よりも事前行動として打ち切り前提で投資をしていた方もいらっしゃるかもしれませんね。
一時はリスクは緩和されたのではないかと考えられていましたが、ギリシャ側が強硬な姿勢を取り続けた為再びリスクが跳ね上がり、現在の銀行業務停止へとつながっています。銀行の業務がほぼ停止すると同時に資本移動規制導入されており、一日に自分の口座から引き出せる資金の量も制限されていて30日以降は一日60ユーロまで引き出せる形になっており、日本円にすると8,300円までと決められています。
現在はギリシャ国内では混乱は少ないですが、日が経つにつれて混乱が大きくなって行くことが考えられます。銀行業務の休業はECBからの資金がギリシャの銀行へ流れるのを止められたからであり、いわゆる外貨不足にも落ち込んでいる為このままでは返済の目処がたつことはあり得ません。
デフォルトってなんだろう?
疑問に思われることが多いのがデフォルトって言うのはよく聞くけどどういう意味なのか?ではないでしょうか。これは【債務不履行】で、借りたお金が返せないと言う事です。ギリシャへの支援は止まっていますので債務の返済が出来なくなる、それがデフォルトと言うわけですね。
ちなみに資金を融資しているのはEUとIMF(国際通貨基金)で、6/30日はIMFへの支払い期限でもありECBへの返済も迫っています。6/30日分の支払い額は15億ユーロで日本円にすると約2100億円ほどになります。この支払はギリシャにとって不可能と言われているのでデフォルトが考えられるのです。
デフォルトするとギリシャはどうなってしまうのか、考えなくてはならないのですが一番怖いのはデフォルトに影響されユーロ離脱。ギリシャ自体の離脱はEU内でも2%ほどのGDPしかないので影響は少ないと言われていますが、連動してスペインやイタリアなどのユーロ圏離脱が起こるのではないかと言う事です。
投資家はリスクを嫌がるので経済的に弱さがあるスペインやイタリアの株を売却し、株価暴落の可能性が危惧されています。それによるEUからの追加支援となるとギリシャの影がちらついてしまうわけです。ギリシャと同じ道を辿り、同じ様にユーロを離脱する事になる、つまりは見捨てられると考えてしまう事でしょう。脱退が増えるとユーロは自然崩壊へと導かれます。
ギリシャのデフォルトによる世界への影響は?
ユーロ圏以外への影響はどうなのかを考えてみましょう。まず考えられるのは株価の低下です。大幅な低下は避けられないので、影響は一時的かもしれませんが、確実に株安になります。この株安はリスク回避の為に行われるものですが、そうなってくるとリスク回避の「円買い」も起こる事が考えられるので円高の状況が考えられます。
ギリシャ国債の値下がりも考えられますし更には、ギリシャの為にIMFやECBがここまでに割いた時間も考えると実質的には非常に大きな損害となるのではないでしょうか。
デフォルトの回避はできなかったのか?
ギリシャは人口に対して公務員が未だに多すぎます。日本国内では公務員は多すぎると言う話を良くききますが、世界的にみればそこまで多いと言うわけではありません。世界的に見ても公務員が多い国でありながらGDPは低い国、それがギリシャだったのです。それを考えるとある意味破綻するべくしてここまでの道のりを歩んで来たと言えるでしょう。
※チャートはYAHOOファイナンス様のものを利用させて頂いています。
デフォルトは回避できなかったのか?と聞かれると回避する術はいくらでもあったと私は考えます。チプラス首相はその上でギャンブルに出たと考えるべきでしょう。日本でもありましたが選挙公約に出来ないことを並べてしまっては意味がありません。年金をある程度カットして緊縮案を受け入れていればこのような事態にはならなかったと言いきれます。ですが、この首相が判断を誤ったのではなくこの人に国の未来を委ねたのはギリシャ国民なのです。
6/30までに多くの道を選択できるチャンスはいくらでもありました。IMFもECBもユーロもここまでギリシャの為に待ったと言っても過言ではありません。デフォルトに備えて準備していたと考えれなくもないですが、待った事には変わりありません。その上で受け入れなかった経緯として選挙の公約があった(緊縮案への反対)こともありますが、それでも反対派のチプラス首相が緊縮へと方向性を変えたのなら、国民も納得していたのではないでしょうか。
まだデフォルトと決まったわけではない
世界の市場への影響はこれから大きくなる事が考えられますが、まだ時間が残されている事には変わりありません。その中でギリシャ首相が選んだのは7/5日の国民投票です。何故期限が切れた7/5にしたのかが全くわかりませんが国民に真意を問うとの事です。
事前に緊縮策を受け入れて投票結果を改変すると言う手も考えられますが、実際の国民の声を反映させるにせよ、期限内に出来たのではないか?と思える行動です。ギリシャが何を考えているのかわからない事は多いですが、散々引き伸ばし政策を取りEU、IMF、ユーロ圏の尊厳を著しく奪いながら、その上でまた支援を受ける事は考え辛くはありますが、それでも可能性が残っているのでしっかりと状況は見守るべきでしょう。
解決策は未だに多く残されていますが、どちらにしても結末を見守るしかできませんが、投資を考える方は様々な状況を想定しておくのがいいでしょう。
※追記※
現段階で日経平均株価の下落が確認されていますが、こちらもギリシャデフォルトのリスクへの嫌気が少なからず関係しているようです。直接的な理由としては、ギリシャデフォルトの影で中国上海総合の株価が暴落しているのが影響しているのではないかと考えられています。そちらにも注目しておくの必要がありそうです。
※追記※
6/30現在でギリシャのIMFへの返済はなくデフォルトの可能性がまた一段と高くなっています。しかしながらユーロ諸国はある程度はこの事態が想定内であったのはないかと考えられています。問題は大きくなりすぎないと考えられてもいますが、やはりリスクに備える必要はあるでしょう。
ギリシャ国債を保有している国については比較的に大きな損失があるのは間違いないでしょう。ギリシャ側からの返済期限の延期の要請がIMFに届いているようで理事会で会議が行われるようです。7/5に国民投票があるので期限としてはそれ以降を申請しているのではないかと考えられます。ただし、もう一つ考えられる事、予想できる事として国民投票をしたところで金銭が増えるわけではないので、返済が出来るわけではありません。IMFが受付ない可能性も高いと考えられ、国民投票次第ではデフォルトは免れない状況である事も知っておきましょう。
カテゴリ:ニュース
2015年07月01日
New Comment