米利上げは予想通り。何故急速な米ドル高/円安が進んだのか?
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アメリカ利上げは予想通りなのに急速な米ドル高
12/14に米連邦公開市場委員会(FOMC)は予想通りの25bp(0.25%)の利上げを行いました。米ドルの全面高はFOMCの発表が影響しているのか?と思われがちかもしれませんが、実は予想通りの結果と言え、そこまで好指標というわけではありません。
ですが、上記画像を見てもらえるとわかるように、利上げ発表後に米ドルは大きく買われています。これは利上げが原因というよりも、他にも理由があると思われる上が方に見えてしまうのは私だけでは無いはずです。
その要因とは一体何なのか少し探ってみたいと思います。
そもそも利上げが行われる政策金利ってなんだ?
「利上げ」と言う言葉はよく聞く言葉だと思いますが、そもそも何の金利を利上げするのかが重要です。ここで注目する「政策金利」とは中央銀行が一般の銀行に貸し出すお金に対する金利。これが今使われている「利上げ」になります。
ちなみに政策金利の引き上げは景気が良い兆候と言われていて、好景気だと物価の上昇(インフレ)が起こります。それに伴って通貨の価値が下がってしまうので、過度なインフレを防ぐ為に中央銀行は利上げを行おうとするのです。
この逆が「デフレ」であり日本が今陥っている状況ですね。物価が下がりすぎて国内の産業がなりたちません。物価が低いので作った商品も安くなり給料も上がらない、そうなると買い控えが起こって景気は停滞傾向に陥ります。
つまり米国は今、物価が上昇傾向で好景気だと言うことになります。この金利の引き上げが行われると個人や企業は株価などへの投資が慎重になり、貯蓄をする傾向が出るのですが、貯蓄をさせて通貨の流通量を減らし、物価の上がりを抑える。一つの動きで様々な効果があるのです。
米国の好景気は既に周知の事実
上記を踏まえて考えたいのは、既に米国の好景気はわかりきった事であるのに、何故全面的な米ドル高となったのかと言う事です。更に言うのなら利上げが行われる事も予想通りでしたし、上げ幅も25bpと大方の予想通りと上がる要素だと言えますが、大きな為替の動きが考えられるほどではありません。
大きく為替が動く時というのは、指標の値が予想よりも良かった時と予想よりも悪かった時です。それなのに何故大きく動いたのか?考えられる要因として全ての条件を満たすのは、トランプ次期大統領の政策への期待から来る来年の利上げへの期待感ではないかと思います。
来年の利上げの予想回数が2回から3回へ
トランプ次期大統領の政策への期待感を含めてかんがえる事で、来年の利上げの予想回数が2回から3回へと変更されています。これが大きく為替が動いた要因と改めて言ってもいいでしょう。
利上げが行われるとドルの価値が上がる事が予想されます。となると、今米ドルを持っていると来年は得をする事になると考えたトレーダーが多かったのが理由です。しかしながら懸念されるのは、もしトランプ次期大統領の施策が思わしくない状況になった時にどうするのか。利上げの回数が3回から2回と予想が下方修正された場合にどうなるのかです。
間違い無く2つの出来事のうち片方だけでも起こってしまえば、米ドルの価値は落ちます。その時にどの値まで落ちるのかを予想するのは難しい事です。となると、達成が不可能と判断された時に一気にドル売りが加速されるのではないでしょうか。
あくまで予想ではありますが懸念すべき事であるのも事実です。
大きな値動きに付き纏うリスク
輸出業が多い日本としてはインフレを望んでいる以上、円安が加速する事は現状では悪い事ではありません。しかしながら、国内の政策が理由と言うわけではなく外部の要因が原因であると、アメリカの政策に日本の今後が左右されやすい状況になっているのは間違いないと言えるでしょう。
世界一の経済力を持つアメリカの米ドル流通量が多いので、影響力が大きく日本の経済の行方が委ねられてしまうのはある意味仕方がない事だと言えますが、より注意して動向を観察しておく事で次の大きな動きに対応出来るのではないかと考えます。
今回の米ドルの大きな動きは、あくまで来年のアメリカ経済とアメリカの政策金利の利上げ回数の増加への期待によって起こった事と言っても過言ではないでしょう。ひとつの出来事で現状とは逆の展開も大いに考えられる事をしっかりと覚えておくと、今後の投資に役立つのではないかと考えます。
カテゴリ:ニュース
2017年06月29日
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