スイスフランの追証が払えない!最悪の場合は自己破産?
フランショックの爪痕、破綻するFXブローカーが続出
2015年1月15日、突然スイス国立銀行によって発表された「フランとユーロの上限を撤廃する」という発言により、これまでスイスフランを買いたくても買えなかった投資家が殺到。急速にスイスフランが買われた結果、僅か20分で40%もの変動する事態となったスイスフランショック。
1月21日現在、スイスフランショックから1週間が経とうとしているわけですが、その爪痕はいまだに投資家や為替業者を悩ませているようで、影響は銀行大手や多くの為替業者に及んでいるとのこと。
スイスフランに対して円は一時50%近く円が売られ、史上最安値の166円台を記録した今回。リーマンショック以上の下落率を記録したスイスフランショックの影響はまだまだ収まらないかもしれません。
なぜ、FXブローカーが破綻するのか?
今回のような歴史的にも稀に見るような相場の急変では損失額も巨額になり、多くのトレーダーが保証金維持率を大きく割り込んでしまいますが、損失額が巨大すぎて大半の投資家が入金することが困難になると、追証が機能しません。
そうなると結果的にこの損失をブローカーが引き継ぐことになるわけですが、損失額が巨額すぎるとブローカーの支払い能力を上回ってしまい、資金繰りに行き詰った結果、破綻するしか選択肢が残されていない状態となります。この場合、投資家が背負った追証の債権は破綻管財人が正当に引き継がれます。
追証ってなに?フランショックで追証が発生するまでの流れ
16日に破綻を申請しているアルパリUKは、顧客の損失を肩代わりせざるを得ない状況に追い込まれたとされています。つまり、多くの投資家が有効証拠金を上回る損失を被ったという事。
なぜこの様な自体に陥ったのかと言うと、本来であれば有効証拠金を上回る損失が出ないように設けられているロスカット(投資資金がマイナスにならずに強制決済されるい仕組み)も機能せず、通貨価格が大変動した後にようやく強制決済されたためです。
FXの仕組み上、投資金以上の損失が確定してしまった場合は追証(追加保証金)という形で為替業者に不足分を支払わなければなりません。分かり易く一言で言えば、“為替業者への借金”という事になります。
スイスフランショックの追証額が桁違い!損失額は数百万・数千万単位
追証は払わないという選択は出来るのか?
今回の騒動で多額の追証を支払わなければならない投資家が増えてしまったわけですが、そもそも「そんな多額のお金はないから払わない」という選択が投資家に出来るのか否か。
結論から言うと上記に少し記載している通り、投資家が背負った追証の債権は仮にFXブローカーが破綻した場合でも破綻管財人が正当に引き継がれるため支払わなければなりません。
ちなみに、追加の支払いは債務扱いです。基本的には証券会社との話し合いによって返済に関する相談を行わなければなりませんが、そうした話し合いを無視するような場合、証券会社側が財産の差し押さえ等の法的な行動をとる可能性があります。
最悪の場合は自己破産を行わなければならない
自己破産とは、裁判所に破産申立書を提出して免責許可をもらう事で、全ての借金をゼロにするという手続きの事を言います。
破産法252条1項の免責不許可事由の一覧の中には「浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ,又は過大な債務を負担したこと」との記載があり、これに株式投資、先物取引、FX投資などが該当するため自己破産は出来ないと言っている方も多いですが、実際には裁量免責があるため自己破産は可能です。
裁量免責とは、免責不許可事由が存在するときでも、裁判所は必ず免責不許可決定をしなければならないわけではなく、破産手続開始決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して、免責を許可することが相当であるときは、裁量で免責を許可することもできます(裁量免責。破産法252条2項)。裁量免責の可否にあたり考慮されるものです。 具体的事由としては、 1 免責不許可事由に該当する行為の動機、原因、その後の状況、 2 免責不許可事由に該当する行為の態様、行為時における破産者の主観的状況、 3 弁済努力の有無 4 債権者の信用調査の有無、程度、 5 破産者の更生の意欲、更生の見込みの有無、 6 債権者の意見 等があげられます。 ※転載元はコチラ
つまり、裁判を行い「更正の見込みはある!本来はダメだけど、今回だけはFXで作った借金でも自己破産を認めてあげよう!」と裁判官に言われれば問題ないという事ですね。上記の参考サイトにも記載してあるように、その人が現在置かれた状況によっては免責許可を出すことが出来るようです。
今回のスイスフランショックで多額の借金を背負ってしまった方もいると思いますが、必ず糸口は存在しますので、自分一人で抱え込まずに専門の弁護士等に相談するようにしましょう。
FXの残高がマイナス(借金)にならないは”嘘”
今回のスイスフランショックやリーマンショックの時がいい例ですが、結果的に多額の追証を抱える投資家が増えてしまうという自体になりました。
基本的にロスカットと言う安全対策が施されているため、損額を被ることはあっても資金以上の損失になることは滅多にないとFXを紹介しいてるサイトもありますが、通貨価格の大変動が起こった場合や週末を跨いだ取引で月曜日に価格が大きく変動していた場合などに多額の損額を被り、投資金以上の証拠金を支払わなければならない場合があります。
取引例で言うと、100万円で資金で1ドル=100円の時にドルを買う場合を想定してみましょう。
FX取引では基本的にレバレッジを掛けて取引を行うため、この100万円で100倍のレバレッジを賭けた場合、100万円の資金で100倍の1億円の資金を運用することが可能となります。
100万円 × レバレッジ100倍 = 1億円 = 100万ドル購入可能 (1ドル=100円のため)
しかし、週末を跨いで取引を行う場合、大きな事件やイベント等で金曜日に1ドル=100円だったのが週が明けるといきなり1ドル=95円になったとします。※5%の変動は有り得ないことではありません。
ここで強制ロスカット発生。
100万ドル=9500万まで円の価値が下がってしまうため、
1億円 - 9500万円 = 500万円となり、500万円の損失となります。
つまり、最初に用意していた証拠金である100万円を超過する400万円については、追証という形でFX業者に支払う必要が出てくるというわけですね。よくインターネット上でも目にする「FXは簡単に誰でも出来る」という言葉を安易に信じすぎないようにする必要があります。
リスクが高過ぎる投資は時代錯誤?
今回FXについて取り上げましたが、スイスフランショックのような出来事が起きてしまうと多額の借金を背負ってしまうリスクがFXには存在します。その半面、多額の利益得る事が出来るのもFXの魅力なわけですが、万が一の場合は借金を背負うリスク(最悪の場合は自己破産)と隣り合わせという事は意識しておかなければなりません。
しかし、為替取引の中には追証と言う名の借金を背負う必要の無い投資も存在し、それが今「投資初心者でも低リスクで始められる」と注目されている投資、バイナリーオプション取引です。
バイナリーオプション取引をFXと比較すると一度で得られる利益は少ないものの、レバレッジというシステム自体存在しないため“借金をして投資をする”という感覚がないですし、基本的に一定時間後のレートが現状の為替レートより上がるか下がるかを予想する取引なため、スイスフランショックのような異常事態が起きても多額の負債を抱える心配もありません。
最近ではリスクが高過ぎる投資は時代錯誤だという声もありますが、未だに根強い人気を誇るのがFX取引。一攫千金を狙って取引を始めるのも悪くありませんが、取引を始める前にFXのリスク面と向き合い、低リスクで行える投資から始めるか、ハイリターンを狙える高リスクのFXから始めるか考える必要がありそうです!
カテゴリ:ニュース
2017年06月29日
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